ドイツのミュンヘン市に所属し、複合文化施設「ガスタイク」を本拠地とするミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(=写真、(C)Andrea_Huber)は今年楽団創設125周年を迎えます。創設以来、多くの偉大な指揮者の薫陶を受け、伝統を築き上げてきました。マーラーは自らの指揮で交響曲第4番と第8番を世界初演。ブルックナーの弟子のフェルディナンド・レーヴェがブルックナー作品を積極的に取り上げて素地を作り、ルドルフ・ケンペが同楽団の声価を一気に高めたのに続き、名匠セルジュ・チェリビダッケによる徹底したリハーサルによって練り上げられたブルックナー演奏で黄金時代を築きました。その後、ジェームス・レヴァイン、クリスティアン・ティーレマン、ロリン・マゼールといった名指揮者がシェフとなり、2015年、ワレリー・ゲルギエフにさらなる進化が託され、現在に至ります。
このように、ミュンヘン・フィルにとってブルックナーはまさに“楽団の誇り”であり、日本のクラシック・ファンにとっても、チェリビダッケとの来日公演や、チェリビダッケはもちろん、クナッパーツブッシュやヴァントとの名盤もあり、“ミュンヘン・フィルといえばブルックナー”と即座に思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
前回の2015年の来日ツアーでは、大阪公演の曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」(ピアノは辻井伸行)とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の2曲。他公演ではブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」が取り上げられていました。ロシアの巨匠によるチャイコフスキーは然りだがやはりブルックナーが聴きたかったなぁ・・・と思った方に朗報です。いよいよ今回はブルックナー、しかも第9番を引っ提げて大阪にやってきます。
第9番はブルックナー絶筆の交響曲で、第4楽章は未完成です。楽譜に書かれた献辞は「愛する神に捧ぐ」(Dem lieben Gott)。人生の最期を見据えたブルックナーが思い描いた世界はどんなだったか体感してみたいと願うのは当然で、未完の楽章を補筆した4楽章完成版もありますが、ブルックナー本人によって書かれた3楽章までを演奏することが多いです。第1楽章と第3楽章がそれぞれ25分強、中間の第2楽章は10分ほどのスケルツォ。未完とはいえ60分以上の大作です。
演奏曲目については、あらためてじっくりご紹介します。
ワレリー・ゲルギエフ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
2018年11月29日(木)19:00開演
フェスティバルホール
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